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名古屋市東区「徳川園」

こんにちは、寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか?
先日、名古屋市の「徳川園」にて東福寺方丈庭園などで有名な
作庭家の重森三玲氏のお孫さんで、同じく作庭家の重森千靑氏の
講演会があり、に行ってまいりました。

重森千靑氏のお話は、主に日本庭園の歴史についてや
それぞれの時代による庭園のあり方や様式など
庭の仕事に携わる者としては、非常に興味深い内容でした。

中でも今回の会場である「徳川園」についての特徴や、
庭園の見方などを教えて頂いたので、ご紹介致します。
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「徳川園」は尾張藩二代藩主光友により元禄8年(1695年)に造営
した隠居所である大曽根屋敷が起源。昭和6年(1931年)に邸宅と
庭園が名古屋市に寄付され、翌年「徳川園」として公開されました。

形式は、大名庭園らしい総合形式の庭園です
(総合形式とは、池泉庭園や枯山水庭園など、いろんな様式を
良いとこ取りした形式だそうです。)

写真の左から
↓大曽根の滝・竜泉湖・牡丹園

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それぞれ、木曽三川・伊勢湾・濃尾平野に見立て
自然の美しさ、特に尾張国の美しさに思いを馳せて作られているそうです。

↓竜門の滝

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竜門の滝は尾張藩江戸下屋敷戸山荘跡(現在の早稲田大学戸山キャンパス)
から発掘されたものを移設したもので
20分おきに激流となり、沢飛石を水に沈める仕掛けがあるそうです。

↓大泉湖と西湖堤

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世界遺産である中国杭州の西湖を模して作られました。

↓虎の尾

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渓流渓谷美を表現し、川の流れが庭園内へと注ぐ形状が虎の尾のような
所から「虎の尾を踏んではいけない」ことから「川に足を踏み入れては
いけない」ことを示唆しているそうです。

虎の尾に似せて作るだけでなく、そういった裏の意味を持たせるところが
日本人らしくて面白く感じました。

↓虎仙橋

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虎の尾にかかる檜造りの木橋で5m下に渓流を見下ろし、上からの景観
だけでなく、下から橋と川の取り合わせの美を眺められるように作られて
いるそうです。

どこから見ても美しく見えるように・・
眺める相手を気遣う、繊細なこだわりを感じました。
まだまだこれだけではなく、非常に広い庭園ですので
たくさん見どころがありました。

お庭に意図や、思いをこめて形にする。
この仕事の原点を改めて感じることが出来ました。

どういう意図や思いで創られたお庭か?
という事に思いを馳せながらながら見て回ると
違った見方もでき、新たな発見もあるかもしれませんね。
皆様も、是非訪れてみてはいかがでしょうか。

ザ・シーズン名古屋 表谷 興