「森鴎外記念館」　薄墨色の煉瓦の壁

「森鴎外記念館」

寒風が吹く薄曇の空の下
千駄木の街に佇むそれは
薄墨色の量塊をさらしていた

この建物の印象を語ろうとするとき
『舞姫』の冒頭
あの「石炭」のイメージが浮かんでくる

建物の壁面に使われている煉瓦は
積み上げられてから
表面を削り取られているという

煉瓦積み特有の重い印象ではなく
かといって
タイルのような軽い感じでもない

窯変が鈍く写しだされたその質感は
古くて新しい何かを感じさせる

『舞姫』という軽く華やかな表題とは裏腹に
重く刻みこまれた物語を書き綴った
鴎外の代表作のように
その建物もまた軽くてそして重い

名    称：　文京区森鴎外記念館
所在地：   東京都文京区千駄木１－２３－４
設　 計：　陶器二三雄建築研究所

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